日本の縫製工場を支えているのは？Made in Japanの現状
「Made in Japan」の洋服と聞くとどういうイメージを持ちますか？
おそらく多くの方が「日本人が日本で作っている」といったイメージなのではないかと思います。
しかし実は日本の縫製工場で働いている方の60%以上はアジア諸国からの技能実習生です。工場によっては生産ラインに１人も日本人がいない工場もあります。
これがアパレル業界におけるMade in Japanの現状です。
縫製業界では若い人材が集まりにくくなり、高齢化で職人が退職していく中で工場を続けるためには、アジア諸国から技能実習生を雇うしかなかったのです。
海外に伝わった日本の製造業の技術
日本で実習した実習生は世界でもトップクラスの縫製技術を自国に持って帰ります。また、日本の大手企業は海外に縫製工場を作り日本の縫製技術を伝えているのです。
その証拠に日本の市場に出回る衣料品の97%は海外からの輸入品で、そのうち76%は中国から輸入されています。
つまり、海外にも高い縫製技術を持った職人は沢山います。日本の縫製技術にも負けない縫製技術の工場が中国を始めとしたアジア諸国に存在するのです。
Made in Chinaと聞くと「値段は安いが品質が良くない」というイメージを持たれる方も多いと思いますが、今や”高品質の洋服”もちゃんと存在します。
特に、日本向けの商品を長年縫製してきた縫製工場の技術は目を見張るものがあります。
私達がシャツの縫製を依頼する湖北省の”黄石”とは？
中国国内で高品質の縫製を誇る地域はいくつかありますが、なかでも「縫製都市」として有名なのが湖北省にある”黄石”です。
黄石では多くの日本の服飾メーカーが合弁で生産工場を設立しており、1933年から日本向けのスーツを生産してきたという歴史があります。
洋服の中でも特に縫製が難しい日本向けスーツを作り続けてきたので、中国の中でも群を抜いてレベルの高い縫製技術を持った職人が昔から多いのです。
そして実は、私達のシャツを縫製するのがまさに”黄石”の職人達なのです。
“高品質”なメンズシャツかどうかを見分ける方法
洋服の中でもシャツの縫製にはかなり高度な技術が必要になり着心地やシルエットに大きく影響します。
では、”高品質”な縫製のメンズシャツはどこが違うのでしょうか？シャツを選ぶときは以下の3点を基準にしてみてください。
①ミシンステッチ
良い縫製を見分けるポイントはまずミシンステッチの細かさです。ミシンの針の落ちる数が細かいほど、シャツの表面に高級感が出ます。
1cmあたり7~8ステッチ以上が高級シャツの目安です。
例えばコム・デ・ギャルソンのコレクションラインのシャツ(3万円程度)で1cmあたり8ステッチくらいです。
ステッチ数が多いと1着に時間がかかるので量産には向きません。縫製品質の低い工場に同じ指示をすると、確実に嫌がられます。
②人の身体に合わせた立体縫製
シャツの袖を広げて、アームホールを正面から見てください。
量産のシャツは大体直線的に縫製されています。それに対して高級シャツは大きく弧を描いて縫製(立体縫製)されています。
曲線で形作られた人の身体のラインに合わせて立体縫製することで、動きやすさとフィット感が向上します。
また、袖を付ける位置も重要です。
高級シャツはこのように脇下の縫製点を2つにして、袖が中心より２ｃｍほど前に付いています。
人の腕は身体の中心に対して少し前に付いています。袖を前に付けることで腕を動かしたときの開放感が得られるのです。
当然シャツの袖もそれに合わせて少し前に付けるべきなのですが、作業効率が著しく悪くなるため、量産のシャツでは普通は行いません。
③スプリットヨーク
シャツの肩から背中にかけての切替部分を「ヨーク」と言います。
高級シャツは肩の丸みにフィットさせるために、背中の中心で生地を切り替えた「スプリットヨーク」を採用します。
量産のシャツではこの部分を1枚の生地(シングルヨーク)で作りますが、それだと本来の肩の丸みにフィットしにくく、耐久性も落ちてしまいます。
人の身体は肩甲骨が出っ張っているのですが、真ん中から生地を分けることで曲線に沿うことができます。
「スプリットヨーク」は2枚の生地をつなぎ合わせるので、その分手間もかかりますが、着心地を優先するならおすすめです。
高い技術を持った工場を選んでいるからこそ、上記のような細かい仕様の縫製が可能なのです。
私達の提供するシャツは“高品質”と”コストパフォーマンス”を両立させたシャツと自信を持って言えるでしょう。
